課題解決におけるデザインの介在価値とは
2023年10月1日(日)宮城県仙台市泉区の「七北田公園」にて、「バディウォーク仙台2023」が開催されました。
『バディウォーク』は全米ダウン症協会(NDSS)により1995年に「ダウン症啓蒙月間」の一環としてニューヨークで始められた、『ダウン症のある人と一緒に歩く、世界的なチャリティーウォーキングイベント』です。日本では2012年に東京都で初開催、 仙台市では2015~2018年に開催し、東日本台風での中止、コロナ禍でのオンライン開催を経て昨年4年ぶりに実施、今年が6回目となります。
本イベントにおいて、ピースは、特別協賛という形で、イベント全体のビジュアルデザインを担当させてもらいました。
本イベントの目的は、「ダウン症の理解促進」ということで、ダウン症の方と一緒にウォーキングをするメインイベントや、ステージイベント、スポーツイベント、マルシェなど、ダウン症の方と健常者の方がイベント内のコンテンツを共に体験することで、コミュニケーションを通じた理解促進が生まれていくことを狙ったイベントとなっています。
メインイベントのウォーキングでは、参加者全員で公園内を1週するのですが、歩きながらダウン症の子どもや、その親御さんとコミュニケーションをとることで、自分自身が持っていたダウン症に対しての偏見を見直す・覆す、様々な発見・気づきがありました。
特に子どもは、身振り、手振り、表情、声のトーンなどで、たくさんのコミュニケーションを取りたがっていて、自分が思っていた以上に、情報のキャッチボールができ、意思疎通ができることに新たな発見がありました。
また、イベント内の様々なコンテンツを通じて、ダウン症の子どもも親御さんも、非常に活力があり、明るく、健常者以上に元気ハツラツとしていて、人生を謳歌していくエネルギーに満ち溢れている印象を強く受けました。
そういったエネルギーを「異彩」という「個性のアート」として捉え、障がい者に対する先入観や常識のボーダーを超える活動をしている「ヘラルボニー」さんも、同じく本イベントの特別協賛として参画しており、チャリティー面でもサポート・協力をされていました。
ヘラルボニーさんと、形は違えど、ビジネスの垣根を超えて、社会に価値を提供・還元していく という想いは同じで、我々ピースとしても、普段のクライアントワークとは違う、デザインというツールを使って、社会にどのような価値を提供して、貢献していくのか、そういったことも考えるきっかけとなりました。
課題を解決するためのツールとしてのデザインの介在価値。
「ダウン症の理解促進」をビジュアルデザインがサポート・フォローすること、それは、誰もが理解・識別できるユニバーサルデザインであったり、誤認・誤解を与えない配色、レイアウト、ジャンプ率であったりなどは勿論のこと、今回デザインをする上で最も気をつけたこと、それは、ビジュアルコミュニケーションを通じて、情報を受け取った相手に「異物を与えない」、デザイン自体がフラットな存在であること を意識して、制作を行いました。
これは、普段のクライアントワークでは行うことがなく、ほとんどが、クライアントや企業の世界観を作り込んでいったり、目的によっては、伝えたい情報を少し誇張したり、大袈裟に表現したりと、情報に対して、何かを付加したり、付け加えていくことを、デザインプロセスとしているのですが、今回は、情報をビジュアルに落とし込んだ際に、なるべく「異物を与えない」「フラットなデザイン」にし、その上で、伝えたい情報を誰に対しても正しく伝わるデザインに仕上げていくことで、目的達成のフォローをしようと考えたのでした。
結果はどうだったのか? 検証・検討の余地はあるのですが、我々ピースとして、本イベントに参画し、デザインの介在価値を考え、表現する。課題解決に向き合う会社として、デザインのあり方を改めて考えて、アップデートする機会となったこと、こういった社会活動を通じて、成長させてもらえるきっかけとなりました。
デザインが介在することで、社会から必要とされ、何かの課題を解決し、そして自らも豊かに成長する。社会におけるデザインの介在価値について、少し定義が深掘れたかなと思っています。
来年も実施する本イベントや、普段のクライアントワークではない取り組みなどをもっと増やしていき、クリエイター個々も、会社も成長していきたいと考えています。
バディウォーク仙台2023実行委員会の皆様、イベント参加者の皆様、我々にこういった機会を頂きまして、ありがとうございました!
本イベントを通じて、より良い社会になっていくことを願っています。