自動生成(AI)を活用し広告AWARDにエントリーしました
今年の4月に興味深いNEWSがありました。
「ソニー・ワールド・フォトグラフィー・アワード(SWPA)」にてクリエイティブ部門賞を受賞したとある写真作品が、
物議を醸したのです。内容は、入賞したベルリン在住のボリス・エルダグセンさんがクリエーティブ部門賞を受賞後、
「出品したのは人工知能(AI)で制作した作品だった」と打ち明けて、受賞を辞退しました。
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ARTとAIの共存は可能なのか、それとも卓越性と手腕を表彰し続けることがARTである姿勢を崩さないのか。
今回の受賞を辞退したボリスさんの問いに、ARTの世界でもこの議論は加速することとなりました。
ART業界とは異なり、広告業界では既にAIを活用したアウトプットがたくさん出ています。
たとえば制作系ソフトでは、自動で背景を生成してくれるなど、制作の現場では生産性の効率が
飛躍的に上がったのではないでしょうか。
ARTではなく、広告の場でAIを活用したらAWARDでの結果はどうなるのか?
とても興味深いこのイシューに、PEACEの新卒がチャレンジしてみました。
チャレンジ内容
1. 架空のクライアントを設けて、Midjourneyで制作する。
架空のクライアントは「エンジョイホールディングス」と命名し、Discordのチャットアプリ「Midjourney」で画像生成をします。
Midjourneyへの画像生成指示のプロンプトは下記のとおりです。
A fun world is created by people who enjoy themselves, universe, ink ball, chemical, chemistry, colorful,
Innovation, pop out, Create a variety of dreamy things, global
ピンとくるまでやり直し、プロンプト通り納得のいくものができたのが下記の画像です。
2. ポスターサイズにリサイズとレタッチ、更に合成用画像を自動生成。
Deeplで翻訳してコピーをレイアウトして完成。
3DCGのようなコストと時間が掛かる表現ですら、ここまでの作業工程で、かかった時間はたったの1日。
ほぼレイアウトとリサイズ、レタッチで時間を使いました。
3. そのまま、アメリカのGRAPHISのポスター部門にエントリー完了。
新卒メンバーが、たった1日での作業時間で、初のクリエイティブAWARDへエントリーすることができました。
エントリー後、デザインなど細かいところがブラッシュアップできていない部分も、先輩メンバーがしっかりフィードバック。 自動生成でエントリーチャレンジをするという意義の他にも、デザイン経験のない新卒メンバーには、ビジュアル構成、レイアウトなど、一連のプロセスを経験できるとても良い勉強になったのではないでしょうか。
さて、結果ですが、、、、
クリエイティブAWARDに自動生成でチャレンジしたら
GRAPHISポスター部門2024でGOLD賞を受賞しました。
検証と感想
1. 自動生成(AI)を活用した、広告は評価された。
2. 生産性重視ではなく、想定していなかった意外性のある画像をものの数分で作れてしまう。
3. 逆に自動生成で作りましたとトレンドに敏感な手法であることをアピールできる可能性あり。(今のうち)
4. デザイン経験のない新卒でも広告賞金賞を取ってしまう生態系の破壊。
5. 今後、AIとの付き合い方をしっかり意識することが大事。(役割分担)
チャレンジして思ったのは、「AIはとにかく作業が早い」ことです。 AIができることに人間が追いつけることはなく、 うまく活用することが大事だと、改めて気づきを得ることができました。 また、今のところ、我々人間にしかできないことも、しっかり判断することができました。 これらの経験を活かして、クライアントに、より効果的な提案ができるように取り組んでいきたいと思います。